読者の方からいただいた質問に答えて行くコーナーです。
夫が裁判で執行猶予が付きました。執行猶予中は海外旅行には行けないと思うのですが、こっそり行ったらバレるものですか?そしたら刑務所に行くことになるのでしょうか?
それでは早速解説していきましょう!
執行猶予中に海外旅行に行くことはできるのか
執行猶予中でも、通常は海外への渡航が可能です。裁判所への申請も必要ありません。
一部の方の中にはドラマなどで執行猶予中に渡航が制限されるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは時効成立のトリックに関する誤解かもしれません。時効の期限が到来する前に海外にいた場合、その間は時効の期間が進行しないという仕組みです。
時効とは執行猶予ではなく”逃げている人”に対する話です。
犯罪者が時効期間中に国外に逃亡することで、時効の期間が進行しないようにするものです。犯罪者が国外にいる間は、時効のカウントが停止します。
海外旅行は行けるけど、パスポートは更新できない!?
注意点として、執行猶予中はパスポートの更新ができません。厳密には外務省に申請し、理由を示せば更新可能ですが、非常に手間がかかるため、事実上はほぼ不可能と言えます。そのため、パスポートを最近更新した幸運な方は問題ありませんが、パスポートを持っていない場合や更新が必要な場合は、海外渡航はできない、と言えるでしょう。
犯罪歴があると行けない国がある
海外渡航に際しては、パスポートだけでなくESTAやビザも必要です。犯罪歴があることで渡航先の国からビザの発行を受けられなかったり、ビザの発行がなされても、渡航先の入国審査で入国を拒否される可能性もあります。
代表的な国としては
・アメリカ合衆国
・カナダ
・オーストラリア
の3国が挙げられます。これらの国は犯罪歴(逮捕歴)があると入国が拒否されるので注意が必要です。
執行猶予も有罪の一種ですから、これらの国には行けない、ということになります。
抜け道はないのか。
とはいえ仕事でアメリカに行きたいこともあるでしょう。その場合は簡易申請のESTAではなく、いわゆる”ビザ”を取得する必要があります。かなり厳しい審査を受けなければなりませんが、完全に不可能というわけではないと言えます。
パスポートの申請欄に逮捕歴を申請しなかったら逮捕される?
非常に難しい質問ですが、「きちんと申請書を読んでいなかった」のか「悪意を持ってわざと申告しなかった」のかは判断が難しいところです。つまりパスポートの申請欄に不備があったとしても検察が故意を立証することは難しい、つまり逮捕・起訴はされない確率の方が高いでしょう。
ただし、タイミング的にまさに裁判中で保釈申請に絡む場合、確実に裁判官の心証は悪くなりますので保釈取り消しや保釈申請が却下される危険性はあります。
執行猶予中の海外旅行まとめ
勘違いしている人が多いですが、執行猶予中に海外旅行は全然行けます!
しかも裁判所への申告も必要ありません。
問題はパスポートがあるか、行く国が犯罪歴を問題視しないかの2点と言えるでしょう。
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