結論:仮釈放の基準は“後半だけ”ではなく、合算された「全体の刑期」に対して適用されます。
要約
- 執行猶予中に別件で実刑判決が確定すると、前の猶予が取り消され、刑期は合算されます(例:2年+2年=合計4年)。
- 仮釈放(パロール)の審査は、この合計刑期を基準に行われます。後半分だけに付く、という取扱いは誤解です。
- ただし再犯は「反省の程度」などの審査で不利に働きやすく、結果として仮釈放が遅くなる/短くなる傾向があり、これが「前半には付かない」という都市伝説の原因です。
- 仮釈放は法律上の最低要件(有期刑は原則“刑期の一定割合の経過”等)を満たし、かつ改悛の情が認められたときに、地方更生保護委員会が裁量で許す制度です。
前提(ケースの整理)
- 例:実刑2年(執行猶予付き)の猶予期間中に別件で実刑2年が確定
- → 執行猶予は取消となり(必要的取消に該当する典型例)、刑期は合計4年として進行します。
重要:この合計4年こそが“いま執行している刑期”であり、仮釈放の審査・可否の判断はこの全体を基準にされます。
(「前半には仮釈放が付かない」という扱いはルール上存在しません。)
仮釈放(パロール)の基本ルール
- 根拠法:刑法28条(仮釈放)/更生保護法(手続・権限)
- 仮釈放は、有期刑では刑期の一定割合の経過と改悛の情(更生可能性)が要件。判断は地方更生保護委員会が行います。
- 実務上の運用:法務省の説明・白書でも、仮釈放は満期前に社会内での更生を促すための制度で、許すかどうかは個別事情を総合考慮して決まります。
なぜ「前半には仮釈放が付かない」という噂が広がるのか
- 再犯は「反省の程度」「規範意識」「再犯リスク」などの評価で厳しく見られやすいため、仮釈放が許可されにくい/遅くなることが少なくありません。
- その結果、体感として「最初の○年は仮釈放が付かなかった」と語られがちですが、制度として前半が対象外というルールはありません。

具体例で理解する(合算のイメージ)
- 合算前提:2年(取消された猶予分)+2年(新実刑)=4年の“いまの刑期”
- 審査対象:仮釈放の要件充足(法律上の最低要件+改悛の情 など)は、この4年に対して判断
- ポイント:仮釈放は自動的に控除される権利ではなく、審査結果しだい。再犯時は不利になりやすい——ここが誤解の源です。
よくある誤解と正しい理解
- 誤解:「後半の刑期にしか仮釈放が付かない」
正解:全体の刑期に対して審査されます。 - 誤解:「一定年数が経てば自動で出られる」
正解:裁量許可です。改悛の情、遵守状況、帰住計画、被害者関係など総合判断。 - 誤解:「再犯でも前半は“満額”で、後半だけが対象」
正解:再犯は審査で不利になりやすいだけ。前半を外す制度はない。
FAQ
Q1. 合算後の“全体の刑期”に対して仮釈放が審査されるの?
A. はい。仮釈放の基準は現在執行中の刑期全体が対象です。
Q2. 執行猶予はいつ取り消されるの?
A. 典型例として、猶予中にさらに禁錮以上の刑が確定し、かつその全部に執行猶予が付かない場合は、必要的に取消となります(刑法26条)。
Q3. 「最低○年で必ず出られる」って本当?
A. 誤りです。法律上の最低要件を満たしても、許すかどうかは裁量で、総合的に判断されます。
まとめ
- 合算後の全体刑期が、仮釈放審査の基準。
- 「前半は付かない」というルールはないが、再犯は審査上ハンディになりやすい。
- 仮釈放は自動ではなく裁量。制度の目的は満期前の段階的な社会復帰の後押しにあります。
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