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トリビアその他裁判

召喚状とは?種類・届き方・無視したときの罰則を条文ベースで完全ガイド

この記事は約8分で読めます。

ある日、郵便局の不在票だけがポストに入っていて、再配達で受け取った書留の中身が裁判所からの召喚状(しょうかんじょう)だった——もし自分にこれが届いたら、誰でもギョッとするはずです。

召喚状は、裁判所が「指定した日時に出頭しなさい」と命じる文書です。ただし「召喚状」と一口に言っても、被告人に届くもの・証人として呼ばれるもの・民事と刑事ではまったく扱いが違います。

この記事では、召喚状の種類・届き方・無視した場合の罰則・対応方法を、根拠条文とともに整理しました。※法律の数字は2026年5月時点の現行条文を参照しています。

この記事の要点

  • 召喚状=裁判所の出頭命令書。強制力あり
  • 主に刑事訴訟法の用語。民事訴訟では「呼出状」と呼ばれることが多い
  • 必ず特別送達(裁判書類専用の郵便)で本人へ届く。封筒本体がポストに投函されることはない
  • 正当な理由なく無視 → 10万円以下の過料+費用賠償/証人なら1年以下の拘禁刑(旧「懲役」)または30万円以下の罰金/勾引(強制連行)の可能性
  • 民事の証人でも勾引はある(民事訴訟法第194条)。ただし当事者本人が口頭弁論期日に出ない場合は欠席判決のみ
  • 届いたらまず弁護士に相談。出頭できない事情があれば担当書記官へ早めに連絡

召喚状とは|呼出状や訴状との違い

召喚状とは、裁判所が被告人・証人・鑑定人・通訳人などに対して、「指定した日時・場所に出頭しなさい」と命じる文書です。法律用語としては主に刑事訴訟法で使われます。

一方、民事訴訟では同じ目的の文書を「呼出状(よびだしじょう)」と呼ぶのが一般的です。被告に訴状を送るときに同封される「口頭弁論期日呼出状」が代表例です。

召喚状と呼出状の違い

よく「召喚状=強制力あり、呼出状=強制力なし」と説明されますが、実態はもう少し細かく分かれます。

① 刑事の被告人・証人:召喚状を無視すれば過料・罰金・拘禁刑・勾引の対象。

② 民事の証人:呼出状でも、民事訴訟法第194条で勾引が認められています。「民事は強制連行されない」というのは誤りで、証人として呼ばれた人が無視すれば刑事と同じく勾引対象です。

③ 民事の当事者本人(口頭弁論期日呼出状):無視した場合は欠席扱いとなり、原告の主張が認められやすくなる(敗訴リスク)形で不利益が生じます。勾引はありません。

え、民事でも証人なら強制連行されることがあるんですか?ちょっと「民事は軽い」みたいなイメージで甘く見てた…

そうなんです。「召喚状」「呼出状」という名前の違いより、「自分が当事者なのか、証人なのか、刑事か民事か」の方が重要です。

召喚状の3つの種類

裁判所から届く「召喚状」には、主に次の3つのパターンがあります。

① 公判期日召喚状(刑事事件の被告人向け)

刑事事件で起訴された被告人に対して、第1回公判期日(裁判の日)を知らせる文書です。根拠は刑事訴訟法第57条(被告人の召喚)と第273条(公判期日の指定)。保釈中の被告人がこれを無視すると、保釈が取り消されて再勾留される可能性があります(同第96条第1項第1号)。

② 証人召喚状(刑事事件の証人向け)

刑事裁判で証人として呼ばれた人に届く文書です。事件の当事者でなくても、目撃者・関係者として呼ばれることがあります。根拠は刑事訴訟法第143条以下(証人尋問)。原則として拒否権はなく、正当な理由なく出頭しなければ罰則の対象です(後述)。

③ 期日呼出状(民事事件の証人向け)

民事訴訟では「召喚」より「呼出し」が用いられますが、実態は同じく裁判所への出頭命令です。民事事件の証人尋問・当事者尋問のために送付されます。根拠は民事訴訟法第190条以下。無視した場合は過料・罰金に加えて、前述のとおり勾引(民訴法第194条)の対象にもなります。

召喚状はどうやって届くのか|特別送達という郵便

召喚状は「特別送達(とくべつそうたつ)」という郵便で届きます。これは民事訴訟法と郵便法に基づく送達方法で、一般書留に「特殊取扱」を加えた裁判書類専用の郵便物です。本人または家族など同居者に直接手渡しされるのが原則で、受領時には署名または押印を求められます。

不在の場合、ポストに入るのは「不在票」だけで、召喚状の封筒本体は郵便局で保管されます。召喚状そのものがポストに投函されることはありません。「受け取っていない」という言い逃れができないように、この厳格な送達方法が採られています。

封筒には差出人として「○○地方裁判所」と記載されますが、中身が公判期日召喚状なのか証人召喚状なのか、封筒の外見だけでは判別できない体裁になっています。では、配達してくれる郵便局員さんは中身を知っているのでしょうか?

召喚状が届いた時の対応

まずは弁護士に相談する

召喚状が届いたら、まず落ち着いて中身を確認しましょう。そしてできる限り早く弁護士に相談することをおすすめします。特に被告人として呼ばれている場合は、すでに刑事手続きが進行している段階です。

日程変更(期日変更)の交渉余地

指定された日時にどうしても出頭できない場合、召喚状に記載された担当裁判所書記官に早めに連絡を入れます。入院・出張・冠婚葬祭など正当な理由があれば日程調整に応じてもらえることがあります。ただし「仕事が忙しい」「気が乗らない」といった理由は基本的に認められません。

当日の持ち物

召喚状そのもの(原本)、本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)、印鑑(証人の場合は日当・旅費の受領用)。詳しい運用はケースによって異なるため、書記官や弁護士に確認すると確実です。

召喚状を無視するとどうなるか|過料・罰金・勾引

ここからは根拠条文とセットで整理します。

刑事事件の被告人が無視した場合

刑事訴訟法第58条に基づき、裁判所は被告人を勾引(強制的に身柄を拘束して連行すること)できます。保釈中の被告人なら、第96条第1項第1号により保釈取消となり、再び拘置所に収容されます。

刑事事件の証人が無視した場合

証人の不出頭には、二段構えの制裁があります。

① 過料(刑事訴訟法第150条):正当な理由なく出頭しないと、10万円以下の過料と、出頭しなかったことで生じた費用の賠償を命じられます。過料は行政罰なので前科にはなりません

② 罰金または拘禁刑(刑事訴訟法第151条):さらに重い処分として、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。こちらは刑罰なので前科がつきます。※2025年6月施行の改正で「懲役」が「拘禁刑」に名称変更されました。

③ 勾引(刑事訴訟法第152条):正当な理由なく召喚に応じない(または応じないおそれがある)証人は、勾引の対象になります。2016年の改正で「再召喚を経ずに直接勾引できる」ようになっており、勾引が執行されると公判期日まで拘置所や留置場で身柄を拘束されます。

民事事件の証人が無視した場合

民事訴訟法でも証人の出頭は義務であり、無視すると次の制裁を受ける可能性があります。

① 過料(民事訴訟法第192条):訴訟費用の負担と10万円以下の過料を命じられます。

② 罰金または拘留(民事訴訟法第193条)10万円以下の罰金または拘留が科されることがあります。情状によっては罰金と拘留の併科もあり得ます(同条第2項)。

③ 勾引(民事訴訟法第194条):正当な理由なく出頭しない証人は、刑事と同じく勾引の対象になります。「民事だから強制連行はない」というのは誤解です。

過料と罰金、似てるけど何が違うんですか?

過料は行政罰(秩序罰)で、刑罰ではないため前科にはなりません。一方罰金は刑罰なので前科がつきます。同じ「お金を払う」処分でも法的な重みがまったく違うので、混同しないでください。

召喚状に関するよくある質問

Q. 代理人を立てて出頭できますか?

原則として本人出頭が必要です。被告人としての出頭はもちろん、証人尋問もその人本人の証言が証拠となるため、代理人での出頭はできません。どうしても出頭できない正当な事情がある場合は、書記官に連絡して相談してください。

Q. 同居家族に内容はバレますか?

封筒の差出人は「○○地方裁判所」と明記されるため、裁判関係の書類が届いたこと自体は分かります。ただし中身が公判期日召喚状なのか、証人召喚状なのか、訴状なのかは、封筒の外見だけでは判別できないようになっています。また、補充送達(同居者への手渡し)でも、家族でも幼児など書類受領のわきまえがない人には渡されません。

Q. 仕事を理由に出頭を断れますか?

原則として断れません。「仕事が忙しい」は正当な理由として認められない可能性が高いです。どうしても外せない予定がある場合は、書記官に早めに連絡し、日程調整を相談してください。

Q. 召喚状を当日に持っていくのを忘れたら?

本人確認書類があれば受付してもらえる場合が多く、召喚状を忘れただけで門前払いになることは通常ありません。ただし運用は裁判所によって異なるので、当日朝に書記官へ電話で一報を入れておくと安心です。

まとめ|召喚状は無視せず、まず弁護士に相談を

召喚状は、裁判所からの強制力を伴う出頭命令書です。無視すれば過料・罰金・拘禁刑・勾引といった重大な不利益を受ける可能性があります。「民事だから軽い」「呼出状だから無視していい」というのは誤解で、証人として呼ばれた以上、刑事も民事も勾引のリスクは同様です。

届いたら、まず深呼吸して中身を確認し、不安があればすぐに弁護士に相談しましょう。日程の都合がどうしてもつかない場合も、無視せず担当書記官に連絡することが何より大切です。

本記事の根拠条文(2026年5月時点)

  • 刑事訴訟法 第57条(被告人の召喚)/第58条(勾引)/第96条(保釈取消)/第143条以下(証人尋問)/第150条(過料)/第151条(罰金・拘禁刑)/第152条(勾引)/第273条(公判期日指定)
  • 民事訴訟法 第106条(補充送達)/第190条(証人義務)/第192条(過料)/第193条(罰金・拘留)/第194条(証人勾引)
  • ※2025年6月1日施行の刑法改正により「懲役」は「拘禁刑」に統合されています
  • ※刑訴法第152条は2016年改正で「再召喚を経ずに直接勾引可能」に変更されました
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