こんにちわ。ライターの渋谷です。
今回は詐欺師の方に最新の投資詐欺の手口を聞いて参りました。
正直、詐欺に騙される人は騙される方にも原因があると言いますか、
・絶対儲かる話なんてない
・そんなに儲かる話を他人に紹介しない
これさえ意識しておけば騙されることはないのに、とかねてから思っていたのですが、今回はその価値観が崩れました。
大変勉強になったので是非最後までお読みいただければと思います。
実に巧妙な手口ですので、被害者が出ないよう、拡散お願いします!!
登場人物
あなた(***さん):お金持ちの社長さん。警戒心が強く、詐欺などには騙されないと自負している。
鷺山(サギヤマ):詐欺師?シンガポールの投資会社の営業だと名乗る男。
嘘田(ウソダ):詐欺師?鷺山が連れてきたお金持ちのお坊ちゃんという男。
エピローグ
あなたがいつもの銀座のクラブで飲んでいると、隣で高そうなシャンパンを飲んでいるお客さんを見つけます。
アルマンドなんか飲んで。随分と羽振りの良さそうなお客さんがいるんだねママ
鷺山さんって言う方でね、投資会社をやってる方らしいわよ
一緒に飲んでるのは〇〇商事の役員の方よ
何度か顔を合わせるうち、ママの紹介でその鷺山という男と挨拶をすることになりました。
初めまして。〇〇会社の社長さんだそうですね。
私はSAGキャピタルズの鷺山と申します。
始めまして。投資会社をやられているそうで。私も株は少しやっていますが、SAGキャピタルズというのは聞いたことがないですね。
弊社はシンガポールの会社で、知名度は低いんです。我が社は資産10億円以上の富裕層の方限定で資産運用を行っておりまして、そのせいか世間一般的にはあまり知られていないんです;
資産10億ですか。はー、では私にはちょっと縁がないなぁ。
いえいえとんでもありません。なんとかご紹介でやっていけている状態ですので、ご縁があればぜひよろしくお願いします。
それから二人は何度かクラブで顔を合わせ
NISAとか投資が何かと話題ですが、御社はどんな運用をやっているんですか?
弊社は年間利回り最大12%で運用を行っております。
12%!?それはすごいですね。私のところにくる運用の提案は高くでも4,5%ですよ。
でもまぁ”最大”ってことは12%じゃない時もあるんですよね?
そうですね。利益が出なかった場合は当然利回りが悪くなります。ただ、一応14年連続12%の利回りを達成させていただいております。
えぇ!?それはすごいなぁ。14年ってことはリーマンショック以来ずっとですか
すぐにそこに気が付かれるとはさすがです。リーマンショックの時はさすがに12%出なかったんですが、それでも4%は利益をお戻しできました。
12%も利益を出すっていうのは一体何が違うものなんですか?
笑。それで申しますと、実は弊社自体は毎年年間12%どころか、40%以上の利益を出しているんですよ。
ブラックロックやGSでもそんな利益率は出せていないのに、なぜ御社だけ。投資はどうしてもギャンブルな面があると思いますが、何が違うものなんですか?
うちは他とは少し違う投資の仕方をしておりまして、いわゆる”決算またぎ”だけをターゲットにして投資をしているんです。
好決算の企業の株を、決算発表の前に買って売るということですか?
そうです。非常にシンプルでして。だからアメリカの利回りや円安といった大きな金融事情にあまり影響を受けないんです。
しかし…それって決算の内容が事前に分かるってことですか?そんなわけ。。。
***さんは本当に頭がいい方ですね。これだけの説明でそこまで気づくなんて。
おっしゃる通り、決算発表前に決算の内容が分かるんです。
それじゃぁインサイダー取引じゃないですか。犯罪ですよ。
いえ、それがインサイダーではないんです。完全な合法なんですよ。もちろん100%分かるわけではないんですが、弊社では大体80%の確率で決算後の値動きを当てることができるんです。
そんなバカな。インサイダーでもなしにどうやって分かるんですか。
***さんはお友達ですからここだけの話ですよ?
さすがに全部はお伝えできませんが、実は弊社独自の手法があるんです。。。
事前に決算内容を当てるカラクリ
***さんも社長ですから部下から報告を受けることが多いと思いますが、『良い報告』と『悪い報告』どちらの方が会議に時間がかかりますか?
会議の時間ですか?う〜ん、そうだなぁ。自分としては悪い会議の方が長くなる印象ですが、部下は良い報告の時ばっかり自分の手柄を長々話してくる気もするなぁ笑
おっしゃる通り。決算も同じで、投資家に対して良い決算を報告する時と悪い決算を報告する時では、事前の調整時間が全然違うんです。
ほぉ。要するに悪い決算の時は言い訳の準備に時間がかかるわけですね
笑。まぁシンプルに言うとそういうことです。
それはなんとなく分かりますが、それがどうやって分かるんですか?
本当にここだけの話にしていただきたいのですが、弊社は大手会計事務所のメールソフトや勤怠管理のいわゆるHR系のツールを管理している会社を子会社に持っているんです。
ほぉ・・・
ですので、たとえばですが、来週決算を発表する〇〇自動車の担当は◻︎◻︎会計事務所の△△さんという方が担当なんですが、この方の残業やメールの頻度などを把握することができるんです。
メールの内容ではなくて、メールの頻度ですか
ええ、そこがミソです。メールの内容は当然インサイダー情報となりますが、担当者がいつもと比べてどう残業しているか、資料を多めに出力しているか、というのはあくまで労働管理上のいちデータですので、見ても問題がないんです。
うーん、しかし、個人情報的には残業時間やメールの頻度を見られているというのはどうなんですかね。別の問題がある気もしますが。
確かにおっしゃる通りです。しかし弊社では社員のウェルビーイングのために勤怠状況やストレス度合いを分析する契約を交わしておりまして、ここがポイントなんですが、「個人情報を保護する」契約はしていますが、「労働時間などのデータ分析を転用してはいけない」という契約にはなっていないんですよ。
なるほど、確かに言われないとグレーなラインですね。
ええ、ですから犯罪ではないものの、SNSなどで知れたら叩かれるでしょうから、大手を振って皆さんに言えるものではありません。あくまでここだけの話と申し上げたのはそのためです。***さんを信じて話してるんだから他言禁止ですよ?笑
なるほど…確かに決算担当者の勤務時間などを見ればいつもとどう違うか、というのは分析ができるわけか
もちろん勤務時間だけではなく、出力や他にも色々な要素を個人情報を含まない数値にして、それをAIで分析にかけています。たとえば決算前にやたら監査法人の上司がccに入ってくる場合は決算が悪いことが多いんですよ笑
笑。なるほど、担当者はリスクを上司に共有しておきたいわけですねw
もちろん100%ではありませんが、そうやって分析することで大体80%の確率で好決算かそうでないかは判断することができるんです。
いやー、しかしすごい話だなぁ。お金はお金持ちが得するようにできているんですねぇ
確かにそうかもしれません。あまり多くの方にご案内していないのはそういうわけもありますね。弊社への投資が一口3億からとなっているので、実は顧客数的にはそれほど多くないんですよ。
一口3億??あー私には縁のない話だ。
申し訳ありません…
そうだ、お詫びと言ってはなんですが、まさに来週出る◻︎◻︎自動車の決算、こっそりお教えしますよ。
先ほど申し上げた通り80%ですので絶対ではありませんが、決算は好決算です。ぜひ事前に買っておくことをお勧めします。
ほぉ。それはいい話を聞きました。しかしこれは大丈夫なのかな?
インサイダーにはなりませんのでご安心ください。
ただ、20%の確率で間違いますので、それは許してくださいね;
ふーむ。言っていることは筋が通っているし、私を勧誘してくる様子もないな。
まぁ向こうにお金を預けるわけでもないし、騙されたと思って◻︎◻︎自動車の株を買ってみるか。
こうして◻︎◻︎自動車の株を買ったあなた。◻︎◻︎自動車は鷺山の予言通り、サプライズ決算で決算発表後4%の上昇を見せます。
その後も予想を当て続ける鷺山
鷺山さん、◻︎◻︎自動車の際はありがとうございました。
いやー本当に上がったのでびっくりしましたよ。今日はお礼にご馳走させてください。
***さんご無沙汰してます。今日は〇〇工業の社長さんと飲んでおりまして、実はお客さんなんです。***さんにこっそり事前に教えたことは内緒にしてくださいね;本当はダメなんで。
〇〇工業の社長さんか、すごい方と飲んでますね。分かりました、ではあの話はしないようにしますね。しかし今日は私にご馳走させてください。
いやいや、そんな申し訳ありません。あーじゃぁ、もう***さんだから特別に、来週の△△広告の決算もこっそりお伝えしちゃいます。△△広告も好決算ですので、ぜひ直前に買ってください。あ、でも確率は80%ですからね。
△△広告か。よし、今度はちょっと多めに1000万ほど買ってみよう。最初は詐欺かと思ったが、詐欺なら私に買わせずお金を預かる方に話を進めるはずだ。この人になんの得もない。
その後、△△広告の決算も鷺山の言う通り好決算で、決算発表後3%の上昇を見せました。
そして、この後、鷺山は同じように〇〇セキュリティの決算も当て、なんと3回連続で決算の動向を当てたのです。
すごい。もう70万円も利益が出ている。最初は当てずっぽうかと思ったが、3回連続となるとこれは本物だぞ。
詐欺師の手に堕ちていくあなた
いやー***さんに儲かっていただいたようで良かったです。20%の確率で外すこともあるので、損させてしまったら申し訳ないとお酒が抜けたあとで不安になっていたんですよ。笑
いやー、鷺山さん、本当にありがとうございました。しかし、3億はとても払えないんですが私みたいなものでも御社に運用を任せることはできないもんでしょうか。
うーん…一口3億は会社の決まりなので私にはどうすることもできないんです…
すみません。***さんちなみにいくらだったら預けることができるんですか?
そうですねぇ、色々かき集めて1億が限界です。。。
いや、1億も十分大金ですよ!そんなに払える方なんて滅多にいないんですから。しかし本当に申し訳ありません、会社の決まりで…私もボーナスが出るので***さんに運用を任せていただきたい気持ちはめちゃくちゃあるのですが…
いえ、無理を言ってすみません。またもし一口の制限が下がったら声をかけてくださいね
もちろんです。
すっかり鷺山を信じ込んだあなた。鷺山と飲んでから1ヶ月ほどして、鷺山から電話がかかってきます。
どうしたんですか鷺山さん、急に電話なんて
***さん!実は一つ良いご相談があって電話したんです。私の新しい担当に嘘田さんという資産家の方がいらっしゃいまして、その方が***さんと同じように2億までなら運用に預けられるんですが、1億足らない、という状況でして。それで考えたんですが、お二人を合わせて3億にして預けていただけば、3億の制限問題が解決できるんじゃないかと!
なるほど…しかしその場合名義はどうなるんでしょうか?
名義は申し訳ないのですが、2億預ける嘘田さんになります。
***さんは嘘田さんに1億を年間12%の利率で貸し付ける借用書を作っていただくことで嘘田さんは年間1200万を***さんに返済という形で払うというわけです。1点申し訳ないのですが、1200万は雑所得扱いになりますので、税率の面では少し損になってしまいます。
それだけご了承いただきたいのですが…
なるほど、確かにそれは成立しますね。しかし、私はその嘘田さんという方と会ったこともないので、大変失礼ですがその方が払わなくなったりしたら困ってしまうのですが…
その点はご安心ください。3億は実際には弊社が預かりますので、もし嘘田さんに万が一のことがあっても1億は嘘田さんにお渡ししません。例えば嘘田さんが「お金を返さない」と言い出したら、まぁそんなことはありえないですが、もしそうなったら私が嘘田さんに1億は渡しませんので。
なるほど。それであれば安心ですね。
ただ、一点嘘田さんから条件がありまして…ご相談になるのですが…もし弊社の運用益が12%ではなく例えば10%だったとします。その場合は***さんへの支払いを当然1200万ではなく、1000万にさせて欲しいと。借用書上は12%と記載するんですが、その年は10%でOKした、ということにしていただきたいんです。
確かに、それはその通りですね。もちろん運用益が12%でていないのに12%くれとは私も言いませんよ。
ありがとうございます。もちろん12%毎年出るように弊社の方で頑張らせていただきます。
ただ、借用書上は12%という数字が出ますので、嘘田さんの方が心配しておりまして;
嘘田さんの方から***さんに一度会ってどんな方か知ってから決めたいと言われているのですが…
そうですね、ぜひご紹介ください。
騙し取られた1億円
その後あなたは嘘田さんという方と鷺山と三人で会い、嘘田(鷺山)に1億を預けます。
嘘田との間には年間12%の金銭借用書が結ばれます。
本当はいけないことなので、会社には内緒にしてくださいいね。
私もボーナスがでるのでお二人のお金を運用することができて嬉しいです。
いやー嘘田さんもとてもいい方で意気投合しちゃったなぁ。今日は酒がうまいですよ
いえいえ、こちらこそ***さんのおかげでやっとSAGに投資することができました。ありがとうございます。ところで、運用益は毎年いただけるんですか?それとも複利で運用されるんですか?
あ、てっきり毎年お支払いするものだと思っていました。もちろん複利での運用も行っております。大体お客様の7割は複利運用されていますよ。
そっか、複利運用もあるのか。
そしたら***さんの1億は配当金にして、私の2億は複利で運用していただけますか?
すみません…実は一部だけ複利というのができないんです…
2口お預けいただいている場合は1口ずつ変えることができるんですが…
困ったな… ***さんは配当金希望ですよね?
あーなるほど…それは困りましたね…うーん、でも私も別に複利でも構いませんよ?
ほんとですか??そしたら複利にさせてもらってもいいでしょうか。
その場合、借用書はちょっと書き換えないといけませんが
お二人が良ければ弊社はどちらでも構いません。
そうしましたら、10年で一度区切るのはいかがでしょうか。
1億円を10年間福利で運用すると約3億4000万円となりますので、***さんに10年後3億4000万円、嘘田さんに6億8000万円をお支払いする形となります。
もちろんこれは10年間毎年12%が達成された場合ですので、少し下ブレする可能性はありますが。
10年後に3.4億か…すごいボロ儲けだ!
こうして嘘田さんとの間に1億円の借用書を交わしたあなた。
嘘田さんに1億円を振込みます。
1億の取引だからな。契約書もちゃんと確認したし、問題ないぞ。
さて、あなたがお金を騙し取られるまでの物語はここで終了です。
あなたは10年後に鷺山とも嘘田さんとも連絡が取れなくなり、詐欺であったことに気づくことになります。
ここまでの整理
ではここまでのお話を整理します。
①高級クラブで出会った鷺山はシンガポールの投資会社の営業マンでした。鷺山の会社は企業の決算が事前に分かる手法を有しており、実際に3回連続で決算の動向を当てました。
②投資が一口3億円からであったため、あなたは当初投資することができませんでしたが、同じように2億しか持っていない嘘田さんを紹介されることで(名義人は嘘田さんですが)鷺山の会社に投資することができました。
③1億円は嘘田さんへ貸した形になるため、しっかりと借用書を作りました。当然現金ではなく、振込で嘘田さんにお金を振り込んでいます。
鷺山は詐欺師ですが、実際に決算の内容を当てており、これは偶然とは思えません。
そんなことができるなら、詐欺などせずとも莫大なお金を稼ぐことができるでしょう。
一体あなたはどうやってお金を騙し取られたのか分かりましたか?
ぜひTwitter(X)やコメント欄で推理してみてください。
答えがわかった方は詐欺リテラシーがとても高い方と言えるでしょう。
答えは解説編の掲載をお待ちください。
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