これは東京拘置所よりも各所轄の留置所においてよく聞かれる話になりますが、雑居(複数人の部屋)で一緒に生活をしていると、当然そこに友情が芽生えることも多くあります。
その場合、必ずといっていいほど「俺が(保釈で)外に出たら、本を差し入れるね」という話が出るのですが、残念ながらこの約束が果たされることはありません。今回は元同室の人間がなぜ差し入れできないのか、についてお答えしていきます。
留置所の人間同士は仲良くしてはいけない、が原則
原則としては中の人同士で連絡先を交換することは許されておらず、勾留者同士のシャバでの馴れ合いは禁止とされています。
そのため、例えばAさんが保釈(または不起訴など)でシャバに出る際、刑務官から「差し入れなどは受け付けないからな」と釘を刺されます。
AさんとしてはBさんに「外に出たら本でも差し入れるよ」と約束していたわけですから、その後レターパックや宅急便などで本を送りますが、それは返送、または廃棄されてしまいます。
そしてこの廃棄された事実が、Bさんには共有もされません。
偽名で送れば送れるのでは?
結論から言うと、可能です。
ただし、届いた荷物(=本)は名前、住所、電話番号などをちゃんとチェックしているので、適当な存在しない住所や氏名で送っても届かない可能性はかなりあります。
ということは逆に言うと、実在する友人の名前を借りて出せば届けることは可能なわけですが、Aさんのシャバでの友人Cさんは、留置所のBさんの知り合いではないため、「これ誰だ?」という現象が起こります。
同室者同士の差し入れが不可だと知ってさえいれば、事前に次のようにすり合わせることも可能です。
俺の名前だと刑務官にはじかれてしまうから、田中って偽名で差し入れするぜ
が、実際は差し入れができないという事実を知らないのでこの会話を事前にすることができないのです。
なぜ差し入れを送ってこないのか、と怒る囚人たち
当然まだ中にいるBさんは「留置者同士の差し入れは禁止」「送っても捨てられる」などの事実を知らないので、シャバに出たAさんが約束を破ったと誤解することになります。
あの野郎、絶対エロ本差し入れるって言ってたくせに、薄情もの!
そのため、雑居などだとこの誤解が続いたまま負の連鎖が起きている時があります。
保釈で外に出れる!みんなに差し入れするね!
しかしAさんが差し入れをしても届くことはない・・・
Aは薄情なやつだったが、俺は違う、Cさん、エロ本期待しててね!
しかし無情にもBの荷物も廃棄されている・・・
みんな「俺は絶対送る」って言って出ていくのに、誰からも差し入れがない。。。
あいつらがそんな薄情ものだったとは思えない。
もしかして外に出たやつはみんな●んでるんじゃ・・・
なんて話を中ではしていたりします。
(ちなみに)なぜ東拘ではなく留置所で起こりやすいのか
これは一言で言うと、残念ながら東拘にいる人はシャバに出る可能性が低いからです。
留置所の場合は不起訴や保釈になる人が多いので「シャバに出たら差し入れするね」が成立しますが、東京拘置所にいる人はシャバではなく、刑務所に行く可能性が高いため差し入れの話になりづらい、という面もあります。
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