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裁判

角川会長の無罪主張は通用するのか?「収賄・賄賂」と「贈り物・謝礼」との違い

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東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の元理事が、大会スポンサー企業から賄賂を受け取ったとして、2022年8月17日に東京地検特捜部に逮捕されました。この事件は、複数のスポンサー企業や大手広告会社に広がり、テスト大会を巡る談合事件も発覚しました。

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件は計5ルートに発展し、大会組織委員会の高橋治之・元理事(78)は8~10月に4回逮捕されました。最終的に、受託収賄・収賄罪で3人、贈賄罪では著名企業のトップらを含む12人が起訴されました。

五輪汚職、「賄賂」総額は約2億円 元理事4回目起訴、捜査に区切り  東京地検特捜部は7月、高橋元理事の会社や、組織委がスポンサー獲得業務などを委託していた広告最大手「電通」などを捜索し、本格捜査に乗り出しました。

 8~9月に立件対象になったのは、紳士服大手「AOKIホールディングス」と出版大「KADOKAWA」という大会スポンサー企業でした。スポンサーへの選定や公式ライセンス商品の迅速な承認、スポンサー料の抑制などを高橋元理事に依頼したとされています。

無罪を主張している角川会長も先日やっと保釈されました。

しかし、そもそも「収賄・賄賂」と「贈り物・謝礼」とは何が違うのでしょうか。

「収賄・賄賂」と「贈り物・謝礼」の違い

法律的な解釈では、「収賄・賄賂」と「贈り物・謝礼」は、その目的や性格によって判断されます。
収賄・賄賂は不正な手段で相手を利益供与することであり、贈り物・謝礼は礼儀正しい手段であり、相手に感謝の気持ちを示すことが目的とされます。

たとえば、公務員が業務に関係のない贈り物や金品を受け取った場合、それが収賄・賄賂にあたるかどうかは、その贈り物や金品が公務員の業務に影響を与えたり、不適切な利益供与があったかどうかによって判断されます。

また、謝礼については、医師や警察官、行政書士などが、業務に関連して受け取った場合には、業務の遂行や調査に影響がない範囲内であれば、適法な場合があります。しかし、業務に直接関係のない場合や、過剰な謝礼があった場合は、不適切な贈答行為となります。

ワイロか謝礼か、争点となるポイント

「ただ、お礼をしただけなのに…」と判断できるかどうかは以下の点がポイントとなります。

①結果に影響を与えたか:お金を払って結果が変わったのであれば謝礼ではなく、賄賂である。
②事前か事後か:事前に渡していたのであれば上記①に影響があると言える根拠が高まり、謝礼ではなく、賄賂である。
③金額は大きいか:金額が一般常識に鑑みて大き過ぎれば謝礼ではなく、賄賂である。
④受け取り手が公務員か:公務員は原則として謝礼を受け取ってはならないため。

今回の五輪贈賄事件においては全ての面で謝礼ではなく贈賄が成立するものと考えられます。
贈賄の成立自体はおそらく争点とならないでしょう。

角川会長の無罪主張は何が争点となるのか?

一人だけ無罪を主張しているKADOKAWA会長の言い分としては、『そんなこと知らない』『そんなことは指示していない』または『その(賄賂の)認識はなかった』というものになると思われます。

しかし実際問題、五輪担当であった角川の元担当室長や専務は以下のように証言しており、おそらくこの証言が嘘だと反証することはかなり困難でしょう。

角川(会長)被告が「僕は早く決めて発表したいんだ。世の中そんなもんだから聞くしかないんだよ」と言った。

支払いが贈収賄に当たるリスクがあることを法務部門の指摘で把握し、角川被告に複数回相談したが「うまくやれよ」などと言われた。

主張として「いやいや、そりゃぁ仕事を手伝ってもらったお礼にお金を払うことなんてよくあることだよ」という主張はできなくはないようにも思えますが、金額の規模・法務部の指摘などを鑑みると無罪が罷り通ることはないでしょう。なにより鬼の特捜部案件です。

室長が嘘をついているという可能性は?

室長や専務が嘘、虚偽の証言をしているという可能性はゼロとは言えません。実際、『自分の意思ではなく会長に言われて怖くてやりました』と『自分の単独の意思で勝手にやった』では前者の方が裁判官の情状酌量の具合も大きいと言えるでしょう。

つまり室長らには偽証する動機があると言えます。

しかし、そこはさすがの特捜部、室長と専務の2名から証言を取っており、また、室長と専務は接見禁止で隔離された状態ですから事前に口裏を合わせることもできません。つまりこの2名の証言は信用に足る証言として採用されることでしょう。

KADOKAWA会長の無罪はありえるのか?

起訴された事案の99.6%が有罪になるのが日本の司法。イレギュラーな0.4%は致命的な捜査ミスがあったもの、つまり明確な無実の証拠があった事件ばかりです。

今回は鬼の特捜部案件でもあり、角川会長の無罪は残念ながら0%と言えるでしょう。

お金を受け取ることに罪の意識は持ちやすいですが、『お金を払った自分が罪人とされるなんて納得がいかない』会長の胸にはそんな気持ちもあるかもしれません。

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