ヤクザの指詰めとは？
ヤクザ/極道の世界では、何かミスを犯した際に「小指を詰める」という責任の取り方があります。
これは一般的に「落とし前をつける」と呼ばれる行為であり、サラリーマンの世界で言う「丸刈り・坊主」に近い形式です。しかし、ヤクザの指詰めは指を失ってしまうため、一度詰めた指は二度と元には戻りません。そのため、任侠の世界ならではの厳しい覚悟を示す象徴的な行為と言えるでしょう。
指詰めの手順について説明します。
最初に指を詰める場合、通常は利き手ではない方の小指の第一関節を切り落とします。もし2回目の詰めがある場合には、小指の第2関節を落とすか、左手の薬指を詰めることが一般的です。ただし、厳密なルールは存在しないため、薬指である必要はありません。また、既に第一関節を詰めている人が第2関節を落とした場合、その行為を「お前舐めてんのか」と怒る兄貴もいるようです。これは個人の性格による違いです。
指を詰める理由
小指を詰める理由は、落とし前をつけるためであり、ミスに対する謝罪や何らかの責任を負う場合に行われます。映画などでよく見られるのは、抗争の引き金となるような喧嘩や覚醒剤の取引でのミスなど、大きな出来事に対する責任を取る様子です。しかし、必ずしも大きな責任でなくても指詰めが行われることもあります。例えば、兄貴が異常に厳しい場合には、寝坊したことに怒られて「指詰めろ」と脅されることもあるようです。これは非常に厳しい事例ですが、実際に起こることもあるのです。
映画とは違う指詰めのやり方
映画やドラマとは異なり、実際の指詰めのやり方はかなり現実的です。映画で見られるようなドス（短刀）を使って小指を一瞬で切り落とすシーンは、実際には非常に困難です。小指の骨はドスでは簡単に折ることができず、自分一人では切断することもほぼ不可能です。
実際の指詰めの手順は次の通りです。
①まず、小指をキンキンに冷やして感覚がなくなるまで冷やします。
②その後、形式的に刃物で肉を切ります。しかし、骨を切断する作業は第三者に行ってもらう必要があります。ノミとトンカチを使って第三者が骨を切り落とします。これが指を詰めるという行為のメインと呼べるかもしれません。
③指を切り落とした後は氷で冷やしながら病院へと向かい、切断された指先は謝罪相手に渡すことがあるようです。
指詰めは切腹と同様に、介錯人がいないと実行することができません。
ファッション感覚で小指を落とす人たち
私たちが通常イメージする指詰め（エンコ落とし）は、責任を取るために躊躇して行われるものです。しかし、実際にはヤクザの世界には、一部ではありますが、ファッション感覚でオシャレの一種のように指を詰める人間も存在します。
このような感覚は一見理解しがたいものですが、全身に刺青を入れることが自分がヤクザであることを示す象徴とされるように、一部のヤクザは「自分も指詰めをしたい」と考えるのです。
そもそもなぜヤクザになったのか
そもそもヤクザになる理由には、ヤクザという存在の異質性が関与しています。
近年では関東連合や新宿ジャックスなどの半グレ集団が存在するため、本来であればヤクザに入らなくても不良の社会的な居場所は存在します。ヤクザは携帯電話も借りられず、住居も借りることができません。銀行口座も作れませんし、もし半グレと喧嘩をすれば一般人を傷つけたとして不利な判決を受けることになります。つまり、ヤクザになるメリットは本来存在しません。
それなのに、なぜヤクザになるのでしょうか？それは一言で言えば、「ヤクザに対する憧れ」が理由です。映画で見たヤクザや先輩兄貴に対する尊敬が、彼らをヤクザという組織に向かわせるのです。
そのため、ヤクザ自体に強い憧れを抱いているヤクザは、小指を詰めることを否定しません。むしろ、それを自身がヤクザであることを示す刺青のようなものとして、小指を詰めたいと望む人さえ存在するのです。
実際にあったファッションエンコ
22歳のA君は住み込みで奉公しているヤクザです。尊敬する兄貴であるOさんからは何度も「シャブ（覚醒剤）をやめろ」と忠告されていましたが、なかなかそれを止めることができませんでした。
A君は半年ほど覚醒剤を断ちましたが、ある日酒に酔った勢いで再びシャブに手を出してしまいました。兄貴の言いつけを守らなかったことを後悔したA君は友人に手伝ってもらい、小指を詰め、翌日になってO兄貴のもとに小指を持っていきました。
しかし、O兄貴としてはA君が再びシャブに手を出したことにショックを受けましたが、指まで詰める必要はなかったのでは…と考えたのでした。正直なところ、A君は心のどこかで指を詰めるチャンスだと感じていたのかもしれません。
まとめ
ヤクザの指詰めは、映画やドラマで描かれるような大袈裟な方法ではなく、実際には冷やし、切り、ノミなどで切断するという手順が取られます。また、一部のヤクザは指詰めをファッションの一環として行う傾向もあります。これは、ヤクザへの憧れや自身がヤクザであることを示す象徴としての意味を持っています。
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