よく「保釈金を払って保釈された」というニュースを見ますが、保釈とはどういうシステムなのでしょうか。お金さえ払えば凶悪犯も出られるの?など保釈に関して解説していきます。
保釈とはどういう意味?釈放とはどう違うの?
釈放というのは事件が終わって解放された状態を言います。懲役刑を勤めて出てくる場合もそうですし、取り調べを終えて「君は無実だね、帰っていいよ」というのも釈放と呼ばれます。
一方で、保釈というのは「お金を担保に条件付きで釈放する」ことで、裁判はまだ終わっていません。ただ、取り調べなどが終わり、あとは裁判を待つのみとなっている場合、わざわざ拘置所で待たせる必要もないので、仮で釈放してあげる制度です。
なぜ保釈金を預けるの?
お金を預けることで、逃げたり、証拠隠滅を計ったり、裁判所が指定した条件を守らないことがないようにしています。つまり、「約束を破ったらお金は返さないからね」という意味でお金を預けます。
そのため、保釈金は被疑者にとってある程度ダメージがある金額である必要があります。それゆえにカルロスゴーン氏など、資産家の場合は必然的に保釈金が高額になっていくのです。
保釈金はいくらくらい?
被疑者の資産と、事件の性質によって変わりますが、あくまで参考・目安として見てください。
事件 | 資産 | 保釈金例 |
大麻所持 | 500万 | 300万 |
500万 詐欺 | 3000万 | 1000万 |
1億 詐欺 | 1000万 | 3000万 |
保釈金はどこにいつ、誰が払う?
基本的には被告人の家族が用意したものを、担当弁護士が裁判所の会計課か出納官吏に納付します。家族が直接納付しても構いませんが、手続きが慣れているため弁護士に頼むケースが多いでしょう。
受付時間は裁判所が閉まる17時過ぎごろには閉まってしまいますが、事前に連絡しておけば夜間でも対応してくれます。中の人としては1分1秒でも早く外に出たいでしょうから、金曜の納付の場合などは夜間になっても早く出してあげたいためです。
保釈の条件はどんなものがつくの?
保釈金を預けることに加えて、代表的なものとしては以下の条件がつきます。
・接見禁止リストに該当する人に会ったり連絡を取ろうとしてはならない
・裁判にちゃんと出廷しなければならない
・常に連絡がつくようにしていなければならない
別に連絡は来ませんが、3日以上の旅行などは事前申請が必要です
・海外に行ってはならない
保釈を決めるのは誰?
申請するのは弁護士、決定するのは裁判官です。ただし、裁判官は検察に意見を聞きます。

そいつはめちゃくちゃ悪いやつで地元に不良仲間も多い!
外に出たら100%証拠隠滅をするから出しちゃダメだ!
こんな風に言われると裁判官も出しづらくなります。
凶悪犯でも保釈金を払えば出られるの?
前述の通り、保釈金には「被疑者が裁判から逃げないように」という意図があります。
例えば20年の実刑がほぼ確定している人がいた場合、その人は逃亡する可能性が非常に高いと考えられますよね?ですのでやはり凶悪犯になればなるほど、(実刑の懲役刑が長いと考えられる人ほど)保釈は通りづらくなります。
保釈金は返ってくる?
裁判が終わるとその結果に関係なく、保釈金は返ってきます。
有罪でも関係ありません。
ただし、罰金刑や民事から差し押さえ請求が来ている場合は保釈金は被疑者の財産として差し押さえられることがあります。
弁護士が保釈金を肩代わりしてくれた場合には保釈金は弁護士のお金なわけですから、本来差し押さえすることはできないと思えますが、弁護士が保釈金を肩代わりすることはほとんどなく、この言い訳が通用するかは難しいようです。
お金がない場合は?
保釈支援協会が上限500万円まで立替融資をしてくれます。手数料は2~3%ですが、これは2ヶ月程度(裁判が1,2回で終わる前提)であるため、実際はもっと手数料は高くつくことが多いようです。
その他の疑問
その他、保釈に関する記事はこちらを参考にしてください。
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